発達障害と関わりのある強迫性障害の改善法

子どものこだわりというのは、ある程度、普通のお子さんの成長過程でもみられることですよね。

例えば、
  • お気に入りの毛布がないと眠れない
  • パジャマのズボンを右からはかなきゃ気が済まない
  • 試合前に必ずジンクスを唱える

など、お決まりごと、オマジナイ的なものも一種のこだわりともいえますよね。

 

でもその度合いが病的になると、つまり日常生活にも支障が出るほどだと、名前がつきます。

 

その中でも自閉症スペクトラム障害はこだわりの代表的な診断名です。

 

ただし、そのような診断名がついていても、実は強迫性障害という障害の場合があるんです。

 

強迫性障害って?原因は?

・強迫性障害は、大体3歳頃から発症、10歳前後まで飛躍的に増えていく障害です。

 

強迫観念(自分の意思とかかわらずに繰り返し浮かんでくる不安や苦痛を引き起こす考え)

と、

強迫行為(その不安を和らげるための考え)

を過剰に行なったり、不安が起きる状況を避けたりすることで、日常生活に支障をきたすようになるもの。

 

・例えば、何度も鍵の掛忘れを不安に思い家に戻る、手をずっと洗わなくてはきがすまないなど。

 

・原因は、まだ不明です。ただ、引越し、転校、クラス替え、いじめ、受験などによるストレスがきっかけになることが多いと言われています。

 

強迫性障害と発達障害の関係

・発達障害や他の障害と合併しやすいことが知られています。

 

特に、ADHDのお子さんは、こだわりの症状が強くることがありますし、併存する場合があると言われています。

 

・自閉症スペクトラム障害や統合失調症などの病気と症状が似ていたりもします。

 

単なる発達障害だと思って、個性の一つだとだけ捉えてほおっておかないことが大切です。

 

発達障害のあるお子さんは、ストレスフルな状況に日々身を置いています。そのため、引き金になることもあります。

 

だから注意が必要です。

 

強迫性障害よくみられる症状

 

・不潔恐怖に関連したもの

例えば、手洗いも何回もする、何時間もお風呂に入るなど

 

・確認行為

家の戸締りの確認、学校の準備を何度も確認、不吉なことが起こってないかお母さんに何回も確認するなど

 

・儀式的な行為

右足から入室しなきゃ気が済まない、もし左足から入ってしまったら家に入るのを外からやり直すなど

 

・魔術的・迷信的な考え

4や9などの不吉な数字についての過剰な拒否

 

・攻撃的な考え

何か怖いこと、恐ろしいことが起きると考えずにいられない

 

もちろんこれらの行為や考えは、普通のお子さんにもみられることもあります。でもこれが度を超えると、心配です。

 

強迫性障害の治療法

・環境調整

まずは、ストレスになっている学校や対人関係、悩みなどを取り除くまたは改善できるような処置を考える。

 

できれば、お医者さんや先生などとじっくり話し合うことが大切です。

 

・主に薬

特に、症状で苦しめられている場合、まずは薬で症状を落ち着かせることが重要となります。

 

特に、この場合使うお薬は、即効性がなく、じわじわ効いてきます。

 

また、効果が出るまでは、吐き気や食欲不振などの副作用が出ることが多いです。

 

でも、安易に中断すると、逆効果です。だから、お医者さんの指示に従って、しっかり服薬することが必要です。

 

十分に効果が出ない場合もあります。でも、その場合は、別の種類の薬に切り替えるなどして、本人に合ったお薬を調整されることになります。

 

・行動療法

お薬と併用して、行動療法が用いられるのが一般的です。特に、行動療法の技法の一つである曝露反応妨害法が効果があるといわれています。

 

この方法はおうちでお母さんもできる方法です。ただし、必ず、お医者さんの指示を受けてから行うようにしましょう。

 

曝露反応妨害法を使ったこだわりや強迫行動の改善方法

・強迫行動の例(手洗い)

例えば、手がちょっとでも汚れたかもと考えてしまい、手洗いをものすごい頻度で、しかも長時間するとします。

 

そのとき、手洗いをすればその不安が治まる→だから逆に手洗いをやめないと不安が続くと考える→洗わずにいられない、という考えが頭をぐるぐるし、ずっと繰り返してしまうのです。

 

・曝露反応妨害法を使った解決策

まず、手洗いをさせないで手が汚いと感じている状態にしばらくさせます。
もちろん最初は不安が続きます。
それでも手洗いしたいという気持ちに逆らって、手洗いを我慢させるのです。

 

そうすると、やがて必ず不安は治まります。
それまで手を洗わずに我慢させるのです。お子さんの信頼できる人、たいていはお母さんですが、お母さんが一緒に立ち会うことが成功の鍵となります。

 

達成したら大いに褒めてあげましょう。これを行なっていくうちに、不安に思う時間や不安が治まる時間がだんだんに短くなっていくのです。

 

だんだんに、お子さんに自信がつき、家でひとりのとき、学校にいるときなどにも我慢することをやってみます。

 

曝露反応妨害法は途中で挫折しないことが大切です。

 

だから、できれば最初はすごく低い目標からスタートするなどして、いきなりお子さんの恐怖心をあおって挫折を招かないようにするのが鍵です。

 

今のは手洗いですが、他にもさきほど挙げた家の戸締りなど強迫に駆られるさまざまなものがあると思います。

 

まずは一度お医者さんにしっかり診てもらって治療の方針を立ててもらいましょう。そのときに、先生の方から言ってくれることもあると思います。

 

もし、まだ言ってもらえないときには、お母さんの方から、曝露反応妨害法って効果があるって聞いたんですが、などと話してみてもいいと思います。

 

あるいは、始めから病院を探す時に、それを行なっているかどうかネットなどで調べていってもいいと思います。

 

さいごに

いかがでしたか?ちょっと難しかったかもしれないですね。でも、もし、お子さんが発達障害でこの強迫性障害を合併していたら・・・または自閉症スペクトラムの症状の一つとしてのこだわりだから、と見過ごしていたら・・・

 

この障害はひどくなると治療もより難しくなります。お子さんももちろん大変ですが、お母さんも巻き込まれがあったりして、とても大変なんです。

 

素早く見抜けて専門家につなぐことができたら、お子さんの予後も心配が減りますし、お母さんもお子さんの症状に振り回されることも軽減します。結果、お母さんも疲弊しないですみますよ!