視線の合わせ方の有無についての疑問・考察

視線が合わないと自閉症スペクトラム、と思うお母さんたちが本当に多くいらっしゃいます。

 

でも実際は、自閉症スペクトラムかどうかって、視線の合わせ方の有無だけで決めるものなの?

 

視線が合わなかったら自閉症スペクトラムってことなの?など、今回は素朴なみなさんの疑問にお答えしちゃいます!

 

自閉症スペクトラムと診断される子どもの乳幼児期の5つの特徴

@視線が合いにくい
A呼んでも振り向かないことがよくある
B指差しをしなかった
Cひとり遊びが多かった
D抱っこを好まないし、だっこしてもしっくりこなかった

 

これらがあったから、必ず自閉症スペクトラムというわけではありません。しかし、後に自閉症スペクトラムと診断されるお子さんには、小さい頃こんな兆候があったという人が多いのです。

 

例えば、指差しをしなくても、気になるものをお母さんの腕をひっぱって教えてくれることもあるでしょうし、もともとそんなに抱っこを好まないお子さんだっています。

 

それと同じで、あまり視線が合いにくいな、というお子さんもいるんです。だから、診断の有無にかかわらず、視線が合わない、合いにくいことはあります。

 

視線の有無の詳細

三項関係

ちょっと難しい言葉ですが、これについて説明しますね。通常は、8ヶ月頃から1歳1ヶ月頃には、自分と物の関係、自分と他者の関係といった二項関係の他に、自分と他者と物という三項関係が成立するようになるのです。

 

つまり、わかりやすくいうと、お子さんがお散歩中やおうちの中でも気になるものが出てきたとき、お母さんの目を見て「あ、あ」と声を出したり指差しをしたりすることがありますね。

 

これは、お母さんに自分の見てる物、感情などを伝えたくて起きるもの。つまり、しっかりコミュニケーションをとろうとしているのです。三項関係が成立しているのです。

 

コミュニケーションの欠如

視線が合うというのは、つまり私たちが誰かと話したり誰かと何かを共有するときには、相手も目をちらちら見てしますよね。これは、単に視線を合わせているのではなく、この行為自体にコミュニケーションの機能が含まれているから。

 

つまり、目を見ながら相手の反応を伺っているのです。これは、相手が今同じように感じてくれているかな、不快に感じていないかな、怒っていないかななど、色々な気持ちを推測するために見ているのです。

 

だから、仮に自閉症スペクトラムのお子さんでも視線が合うことはあります。でもだから診断されないのかというとそうではありません。視線があっていても、そこにコミュニケーションの機能が含まれているかどうかが重要なのです。

 

含まれていなければ単に見ているというだけのこと。三項関係自体にコミュニケーションの機能が含まれているのか、そこが診断の有無に関係してくるのです。

 

だから、視線の合わないお子さんでも何かを媒介としてコミュニケーションできていれば診断はつきませんし、視線を合わせられてもそこにコミュニケーション機能がなければ診断がつく可能性があると考えてください。

 

これがわかっていると、必要以上に視線が合うか合わないかでビクビク心配することがなくなりますよ!